無料ツールを作ろうとすると、最初は「これもあった方が便利かな」が次々に出てきます。設定を増やす。選べる色を増やす。説明も入れる。気づくと、作る側には分かりやすいのに、初めて触る人には入口が見えにくくなっていました。
コトリンクのような小さな道具を考える時も、最初に決めたいのは「何ができるか」より何を迷わせないかです。全部に応えるのは気持ちがいい。でも、最初の一回が使いにくくなったら本末転倒です。
一つの困りごとを決める → 最初の操作を減らす → 使った後の声を集める
この記事でたどる疑問
「便利にしようとして機能を増やすと、なぜ使いにくくなる?」
→「最初に助けたい作業は、どこまで?」
→「要望は全部取り入れるべき?」
→「小さく始めた道具を、どう育てる?」
便利な機能が多いほど、使いやすい?
選択肢が多いことと、使いやすいことは別です。初めて開いた画面で「どれを選べばいいの?」となるなら、その人は機能を使う前に止まります。作る側は選択肢の違いを知っているので、つい忘れがちです。
私は以前、ボタンの色もレイアウトも最初から全部選べるようにしようとして、画面を見ただけで疲れるものになりかけました。悪いのは機能ではなく、最初の一歩で決めさせすぎたことでした。(作っている時は、選べるほど親切だと思っていたんです。)
最初に助けたい作業は、どこまで絞ればいい?
「この道具を使った後、5分後に何が終わっていてほしいか」で考えると絞りやすいです。コトリンクなら、商品を紹介したい人が、記事に置けるリンクを迷わず作れること。記事全体を完成させることまでを一つのツールに背負わせない、と決めるのも大事です。
できることを狭くするのは、手を抜くことではありません。最初に役に立つ場所をはっきりさせることです。そこが使えたら、次の困りごとは別の形で足していけばいい。
| 増やしたくなるもの | 先に確認すること | 今は見送る判断 |
|---|---|---|
| 新しい機能 | 最初の操作が増えないか | 起動時に必須ではない |
| 細かな設定 | 全員が決める必要があるか | 初期値で困らない |
| 個別の要望 | 同じ迷いが繰り返し起きるか | 元の目的から遠い |
要望は、全部取り入れるべき?
声をもらえるのは本当にありがたいです。ただ、一つの要望がそのまま全員の困りごととは限りません。私は「どの場面で困ったのか」「何をしようとしていたのか」を聞き直します。機能が欲しいのではなく、途中で迷いたくないだけかもしれないからです。
たとえば「もっと細かく選びたい」という声があっても、初期設定で十分なら、まずは説明を足すだけで解決することがあります。反対に同じ場所で三人が止まるなら、そこで初めて画面や導線を直す価値があります。
無料なら、全部盛りにした方がいい?
私はそうは思いません。無料だからこそ、使う人の時間を大切にしたいです。たくさんの機能を並べるより、開いてすぐに「これならできそう」と思える方が、次の作業へ進みやすい。
ツールは、作った瞬間に完成ではありません。実際に記事を書こうとした時、どこで止まるのか。説明を読まなくても触れるか。使った人が、次に何を作りたくなるか。そこを見ながら少しずつ整えていきます。
小さく始めた道具を、どう育てる?
まずは、変えた理由を残します。「この設定を減らしたのは、最初の画面を軽くするため」「この案内を足したのは、記事に入れるところで止まりやすかったから」。理由が残ると、あとで機能を足す時にもぶれにくいです。
そして一度に全部は直しません。一つ変えたら、実際に使う流れを最初からたどる。小さな改善でも、使う人が迷わず終えられるなら十分です。ツールを作ることは、機能を増やす競争ではない。誰かの「ここ、どうすればいい?」を一つ減らす作業だと思っています。
琴葉メモ
「できること」を増やす前に、「最初の一回で迷う場所」を減らす。小さな道具ほど、そこが効きます。
「いつか使う」は、使う人の迷いになる
作る側にとっては、選べることが多いほど親切に見えます。けれど初めて開いた人には、選択肢が多いほど「どれを選べばいい?」が増えます。私は以前、使うかもしれない設定を全部並べた画面を作って、説明文も長くしていました。結果、最初の一歩を知りたい人ほど止まってしまったんです。

そこで考え方を変えました。最初に必要なことだけを前に出す。迷った時だけ開く設定は、あとに置く。これだけで使い始める人の表情が変わります。(作る人の安心と、使う人の安心は別物でした。)
残す・見送るを、どう決める?
新しい機能を思いついた時は、「これがないと今日の作業が終わらない人はいる?」と聞きます。答えが曖昧なら、今は見送る。反対に、同じ質問を三人以上からもらった、既存の手順で毎回つまずく、説明を読まないと進めない。このどれかなら、作る理由があります。
| 思いついた時の状態 | 判断 | 次にすること |
|---|---|---|
| 自分だけが便利そう | いったん保留 | メモに残す |
| 同じ迷いを何度も聞く | 検討する | 使う場面を三つ書く |
| ないと作業が止まる | 優先する | 最小の形で試す |
作らない決断は、あとで直せる
見送った機能が、半年後には必要になることもあります。だから「絶対に作らない」と決める必要はありません。今の利用者に必要か、今の画面に置いて分かりやすいか。その時点で決めればいい。小さく出して、実際の迷いを見てから足す方が、結局は遠回りになりません。
増やしたい機能を一つ選び、「これがないと誰がどこで止まる?」を書いてみてください。答えられなければ、今は作らない。それも十分に前進です。
使いやすいツールは、全部できるツールではなく、必要な人が迷わず次へ進めるツールだと思います。